ロックの名盤!
団塊の世代の回顧ブームで,60〜70年代初頭のロック史が熱く語られる頻度に比して,80年代以降のロック・ヒストリーは,谷間のような状態にあるようだ。ここはひとつ働き盛りの友人世代を代表し,40才になりつつある自分の半生を振り返り,ロック史の名盤を紹介してみようと思う。
・入門編
バンド名:U2 (ユー・ツー) アルバム名:ジョシュア・トゥリー 発売:1987年
それまで一部のブリティッシュ・ロック・ファンに限定されていたU2ファン層を,アメリカを中心に一気に広めた記念碑的アルバム。誰でも一度は耳にしたことがある名曲ぞろい。難解さもなく聴きやすい曲が多い。U2入門ならまずこれから。Where
the steet・・は,ライブで一番,盛り上がった。
バンド名:U2 アルバム名:All that you can't leave
behind 発売:2000年
90年代のU2が,『ディスコティック』に代表されるエレクトリカっぽい音作りに傾斜していったのに対し,再び,80年代テイストへと復帰した記念碑的作品。1,Beautiful
Day
が良い。プロモーション・ビデオで使用されたパリのシャルル・ド・ゴール空港の湾曲したガラス天井の映像があまりにも印象的だったので,2004年のロンドンへの短期旅行の時に,パリ経由便を選んだほど。ちょうど幸いに,名古屋=パリ便=ロンドン行きならば,U2が実際に撮影をしたターミナルに降りることができ,ラッキー。4,Walk
on も良し。
バンド名:U2 アルバム名:How to dismantle atomic Bomb 発売年2004年
全作,All
that ・・・から4年。待ちに待った新作である。路線も全作を力強くした感じ。2,Miracle Drug,3,Sometimes,5, city of
などの名曲揃い。これもかなり売れるだろう。しかし,ジャケットからして,いかにも一癖ありそうな4人組である。ボノが2005年で45才だそうだ。特に最近は,ベースのクレイトンのその筋の凄味が増してきたと思うのは,自分だけだろうか。2006年には,このアルバムでのライブにも行けて上機嫌である。
バンド名:Radiohead (レディオ・ヘッド) アルバム名:ベンズ 発売:1995年
レディオ・ヘッドの最高傑作ではなかろうか。聴きやすい曲が多い。地下鉄などでの通勤途中に,都市の無機的な孤独感の中で浮遊したい時には,最高の一枚。非常にダウナーなレディオヘッドのアルバムの中でも,なぜかポジティブな感覚になれる不思議な一枚。ついつい引きこもりがちな日常から脱却するキッカケにふさわしい一枚。
バンド名:Coldplay アルバム名:X&Y 発売:2003年
Cold Play の
X&Yは1曲目のベースの入り方が最高。80〜90年代ブリティッシュ・ロックの集大成のような,お手軽の一枚。Voのマーティンが,ハリウッド女優のグイネス・パルトロウの夫だと知っている人は多いはず。2006年7月にはライブに行くことも出来た。アルバム・ジャケットのデザインは何を表現しているか,と妻と議論になったが,「イグニッション(起爆装置)やないやろか〜?」と言ったら,妻が,なるほど,Fix You
の歌詞の中にそういう箇所があるよ,とめずらしく関心して納得してくれた。I will ignite your bones.
という箇所のことだ。
中級編
バンド名:Van
Halen アルバム名:1984 発売年:1983(?)
今となっては,ジョージ・オーウェルの反ユートピア小説『1984年』からもじったタイトルだと分かるのだが,80年代当時,そういうことを知っている輩はほぼ皆無だったと思う。というのも,音楽性がまるっきりノーテンキで頭が空っぽのロックだからだ。おそらくこれを聴くほどに,みな知能指数が下がっていったことと思う。イングヴェイにならんで,ギターキッズにコピーできなかったものの一つであるはず。スケールはペンタトニック(ロックの基本の5音階)で最高に格好良いのだが,手癖が凄くなかなかマネできないスタイルのギターであった。80年代ギター・キッズで,このアルバムジャケットにあこがれて,マルボロの煙草を吸ってみた奴は多いはず。最近,1,Jumpのキーボードパートが弾けるようになり,またも妻に尊敬された。
バンド名:U2 アルバム名:The Unforgettable
Fire 発売:1984年
U2で最初に聴いたアルバム。部活が終わって,眠たい目をこすりながら深夜まで勉強しつつ,良く聴いたアルバムだ。Prideは名曲。Badも良い。Josua
Treeから聴き始めた人が多いが,深みがあるのは,やはりこのアルバムだ。ブライアン・イーノがプロデュースした最初の作品。
Foo Fighters のボーカルは,元ニル・ヴァーナのドラム。11曲目のEver Long
は名曲。不思議な轟音ギターの響きは,ジャズコード(sus4あるいはディミニッシュ?)を使用している。ほぼコピー終了。
ギターをまた買おうと思いついたキッカケの,Green day , American
Idiot
上級編
バンド名 Muddy Waters アルバム名 Electric
Mud 発売:1968年
マディ・ウォーターズといえば,ストーンズの結成のキッカケになったブルースバンドである。鮎川誠氏も尊敬するバンドらしいとの情報はあったものの,泥臭いブルース程度にしか認識していなかった。知識先行で遠ざけていた。ところがどっこいである。聴きやすく,現代的な音に衝撃を受けた。このアルバムは,マディー・ウォーターズのなかでも,エレクトリックなサウンドを全面に出したもののようで,ボブ・ディランの『追憶のハイウエイ』しかりで,賛否両論あったようだ。しかし,サウンドがすばらしいのである。60年代の後半にこのようなギター・サウンドがあったとは。ジミー・ページもこの真似だったのではないかと思ってしまう(たぶん,違うだろうけど)。80年代の博多でも,ニューウエイブ全盛の時代に,あまり聴く人が少なかったようである。なんともったいないことをしたものか,と反省しきりだが,こちらの鑑賞力が上がったのかもしれない。40代の往年のロック少年に,必聴の一枚。鮎川誠流に言えば,非常にゴキゲンなアルバムである。
バンド名:Led
Zeppeline アルバム名:プレゼンス 発売:1976年
レッド・ツェッペリンの後期の最高傑作。ツェッペリン・ファンには,前期のT,U,Wのファンが多いが,自分はどうしてもこれが最初にあがる。ギターのサウンドも,レス・ポールの理想的なギターサウンドのお手本。1曲目の「アキレス最後の闘い」は,10分間もあるが,最高傑作。ちなみに,ギター・パートはかなりコピーした。「天国への階段」を弾けるギターキッズの数に比して,「アキレス」を完コピーした人は少ないのではないか。これが我が家には夫婦で合計2枚+CD1枚ある。Zepファンのロッキンオン編集長;渋谷陽一氏にも匹敵する珍しい家庭であろう。ちなみに,レッド・ツェッペリン(ドイツ語読み)ではなく,英語読みではレッド・ゼッペリン(Z
が濁る)が正しいが,日本ではファンでも意外と知らない。自分もイギリスのTV番組を観て初めて知った。大晦日の紅白歌合戦が,イギリスだと世代を超えたロック・スタンダード曲の熱唱番組で,ロバート・プラントが出演したりするから,ロック・ファンがイギリスびいきになるのは,ある意味自然な流れと言うしかない。
バンド名:YES アルバム名
Fragile(こわれもの) 発売1972年
プログレッシブ・ロック(略称プログレ)の代表的アルバム。高校1年の時にレコード盤で買った。家のステレオがダイアトーンスピーカーだったので,一曲目のROUNDABOUTの最初のピッキングハーモニクスがやたらと透明感あふれて聞こえて感動。ここを途中までコピーし,どこそこで手癖で弾いたりすると,分かる人は分かってくれて,プログレファンを見分ける方法の一つになった。ギターのスティーブ・ハウは,最も尊敬するギタリストの一人である。ヘヴィ・ロックの感じからクラシックまで,とにかく,懐が広い。特に,アコースティックの音が,最高に美しい。70年代のイギリスって,良い時代だったのだなあ,と改めて思わせる一枚。
バンド名:King
Krimson アルバム名 Red 発売1974年
実は,最近になって入手したアルバム。キングクリムゾンは,『キング・クリムゾンの宮殿』しか知らなかったが,これはStarlessという曲が聴きたくて買ったアルバム。Starlessとは,知る人ぞ知る,1980年代の日本を代表するプログレ・バンド。大学時代に強い影響を受けてコピーしたが,ルーツはクリムゾンだったのか,と20年たった今になって知る。単なるマイナーメロディではなく,70年代イギリスの独特のムードが漂う一枚。
バンド名:Starless アルバム名 IV Story never
ends 発売2007年
1980年代半ばに日本で活躍した,メロディアス・プログレッシブ・ロックの「スターレス」。「銀の翼」(LP版のみ)は名盤だった。最近voを新メンバーに加え再結成したとのこと。懐かしい音は健在。
・恐らく今では誰も聴かないだろう名盤編
バンド名:Quiet Riot アルバム名:Metal Health
1983年
「あったねー」と叫びたくなるアルバム。なんと全米でNo.1になったという。何故か邦題が,「ランディーローズに捧ぐ」となっている。彼が在籍したバンドらしいが,別にそうでなくとも,良いバンドだった。大学入試の後期試験で出陣式に聴いた曲は,Come
on feel the noiseという名曲だった。貧乏高校生の時代に,テープにダビングして聴いていたなあ。
バンド名:Black Sabbath アルバム名:Sabbath Bloody
Sabbath 発売:1974年
おどろおどろしいジャケットのヘビーメタルアルバムだが,中身は至ってメロディアス。トニー・アイオミ(b),オージー・オズボーン(v),ギーザー・バトラー(b),ビル・ウォード(dr)という第1期の黄金メンバーの代表作。最近では,デス・メタル系の若いバンドに崇拝されているブラック・サバスだが,やはり一番の魅力は,トニー・アイオミのギターリフである。最近買ったギターも,SGにしたのも,トニー・アイオミのギターだからというのもある。
バンド名:Black Sabbath アルバム名:Heaven and
Hell 発売:1980年
これまた妙なジャケットだが,voがオジーからロニー・ジェイムス・ディオに代わっての代表作。早いテンポの曲が多い。大学時代のメタル路線で一番影響を受けた。Die
Youngは名曲だと思う。
アーティスト名:イングヴェイ・マルムスティーン アルバム名:Rsing
Force 発売年:1984年
イングヴェイと言えば,80年代ギターキッズの自信を一気に打ち砕いたギタリスト。いわゆる「早弾き」というジャンルで最高峰に位置する。早すぎでコピー出来ないのである,,。北欧はスウェーデン出身で,最初はかっこよかった。しかし,ヒットしてからは,LAに移住し,おなかがパンパンになったのは,食べ過ぎのせいか。しかも後期ほど駄作が多いが,この初期のアルバムは別格。クラシックとロックの融合をこれほど美しく成し遂げたアルバムは無かろう。
バンド名:Journey アルバム名:Escape 発売:1982年
当時はこれを良く聴いた。Don't Stop
Believing(最近のクルマのCM曲にも採用), Cryng
Nowなど聴きやすい曲ばかり。というか,彼らをして「産業ロック」と呼ぶようだ。全世界で800万枚売って,当時としてはほぼ世界最高の地位にあった。